イカの語源とイカがカラスを食べた話

イカは、いかめしい姿をしているから「イカ」と呼ばれるようになったという説がありますが、イカの語源はまだはっきりしていません。

ちなみにイカは漢字で「烏賊」と書きます。なぜイカが烏の賊なのでしょうか?

海の水面近くを泳いでいたイカが、自分を食べようと狙って襲ってきたカラスを、逆に十本の足で捕らえ食べてしまったという故事があります。この故事が元となって、漢字で「烏賊」と書くようになったと考えられています。

本当にイカがカラスを食べたかどうかは定かではありませんが、イカは「カラストンビ」と呼ばれるほど、鋭利で強靭な顎(あご)を持っています。イカがカラスを好んで食べるかどうかは不明ですが、イカはこの「カラストンビ」でカラスをやっつける程度の能力は持っているといわれています。

日本人はイカが大好き

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世界中で一番イカを食べるのは日本人です。それだけ日本人はイカが大好きといえます。イカは世界で毎年330万トン収獲されていますが、その約三分の一の100トン近くを消費するのは日本人という記録があります。一年間で収獲するイカの三匹のうち一匹は、日本人が食べている計算になります。

イカは栄養素を豊富に含んだ食材

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イカは多くの栄養素を持っている優れた食材です。昔は、イカはコレステロールが多いと問題視されていたことがあります。ところが、現在になってイカはコレステロール値を下げるタウリンを豊富に含んでいるということがわかりました。過去の評価とは一変して、コレステロールを抑制し、さらに肝臓に良く、貧血改善にも役立つことで注目を集めています。

また、イカが吐く「イカ墨」にはガン予防に効果的な栄養素が含まれています。こういった理由から、イカに含まれる栄養は人間の健康にとても良いと考えられるようになりました。

イカの内臓が液晶に?/

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さきほど、世界中で日本人が一番イカを消費していると紹介しましたが、イカは食材としてだけ消費されているわけではありません。

実は、多くの家電製品やノートパソコン等に使う液晶は、イカの内臓を使って作られていたことがあります。

イカにはたくさんのコレステロールが含まれています。このイカの内蔵のコレステロールから作られたのが「コレステリック液晶」と呼ばれるものです。

イカは人工飼育が不可能な唯一の動物だった?

1970年代当時、イカは人工飼育できないと考えられていました。なぜなら、イカが死亡する主な理由が、小さな水槽などに入れられることに対するストレスだったからです
。イカが水槽の中を泳いで壁にぶつかり、ストレスがたまるせいで活動が荒くなり、さらに壁にぶつかるという負のスパイラルがありました。これが原因でイカがすぐに死んでしまうという説が、学者達の間で主流でした。

また、ノーベル賞を受賞した動物学者コンラッド・ローレンツ氏が「イカは人工飼育が不可能な、唯一の生物である」と語っていました。そのため、「イカの人工飼育は不可能である」という説が有力になっていました。

しかし、日本人の松本元氏がこの通説をくつがえしました。脳科学者の松本元氏は、巨大神経細胞を得るためにヤリイカの人工飼育をはじめ、「生物が生きれないのは環境に原因がある」という仮説を立てました。そしてイカの人工飼育の着手から3年後、「ヤリイカの人工飼育のためには、アンモニア濃度を徹底的に下げる必要がある」ことを発見しました。こういう流れで、彼はイカの人工飼育不可能の通説を一気にくつがえしました。

コンラッド・ローレンツ氏は松本元氏のこの主張を「自分の目で確かめるまで決して信じない」と言い、松本元氏の成果を確認するために来日しました。そして彼は、イカが人工飼育されている水槽を1週間ものあいだ観察し、イカの人工飼育成功が真実であることを確認しました。そしてコンラッド・ローレンツ氏は「全ての水産生物の未来を変える」と言い、松本元氏の快挙を大きく評価したそうです。

(Photo by Silke Baron, Andrepiazza)

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