ブリの出世は地方でかなり違う

魚には、成長するとともに名前が変化する『出世魚』という種類があります。ブリは、その出世魚の中でも特に有名な魚であることをご存知でしょうか?

出世魚の名前の変化は、地方によって呼び名が異なります。特にブリの場合、ボラやスズキと比べて呼び名の数がとても多いです。

まず、関東は『ワカナゴ』『ワカシ』『イナダ』『ワラサ』という具合で成長していき、そして『ブリ』と呼ばれるようになります。

しかしこれが関西の方になると全く呼び名が異なり、最初の呼び名が『モジャコ』、成長していくと『ツバス』『ハマチ』『メジロ』、そして『ブリ』となります。

また東北では、『アオッコ』『ショッコ』『ワラサ』という過程を経て、最終的に『ブリ』と呼ばれるようになります。

場所が違うとはいえ、この三つの地方でこれほど呼び名が変わるのは興味深いといえます。この他にも紀州や四国、九州など様々などでは呼び名が違います。また、場所によっては『ハマチ』と呼ばれたりするので、他の魚と名前が被っている地方もあります。

ブリは出世魚の中でも一番といっていいほど、地方によって名前がそれぞれ違っています。同じ出世魚の『スズキ』や『ボラ』と比べてみても、ブリは群を抜いているといえるでしょう。

ブリはタイに並ぶお祝いのお魚

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お祝いの席で頻繁に目にする魚のなかに、タイがいます。実はブリも、タイと同じようにお祝いの席で出ることが多い魚であることをご存知でしょうか?

成長とともに名前が変わる出世魚であるブリは、成長や出世の象徴とされています。会社の役職が「係長」「課長」「部長」という風に、どんどん上がっていくのと同じですね。

ですので、お祝いの席では成長を喜び出世を願って、出世魚であるブリがよく出されているのです。

海に浮かぶ海草でかくれんぼ

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ブリは成長すると150cmもの大きな身体になる魚です。もちろん、そんなブリも生まれたての頃はとても小さい魚です。

ブリは主に能登半島や房総半島などの比較的暖かい海で産卵をします。稚魚は孵化(ふか)して間もなくは、海を漂っているだけです。やがて少しずつ成長し、数センチの大きさになると、海を漂っている海藻の中に隠れて、黒潮の流れに乗ります。いくらブリが大きく成長するといっても、やはり稚魚の頃は臆病です。だから海草に隠れて、長い時間をかけて海を北上していくのでしょう。

しかし稚魚が成長して大人になっても、ブリもとても臆病な性格なのです。例えば群れの近くで何かブリが驚くようなハプニングが発生した場合、その群れ全体が怖がって逃げてしまうといわれています。

100cmを超える魚でも、肝っ玉は稚魚の頃から同じままということができるでしょう。

キブリとアオブリの違いとは?

ブリは成長すると長い距離を移動する回遊魚になります。北上するブリの回遊のルートは大きく分けて二種類あり、太平洋側か日本海側かに分かれます。目指す場所は全く同じで、どちらも北のオホーツク海を目指します。

『キブリ』と『アオブリ』という言葉を聞いたことがありますでしょうか?これは両方ともブリであり、特に違う種類というわけではありません。この名前の違いは、広く海を移動しているか、一定の場所を住処としているかどうかで呼び名が異なります。

実は、ブリの全てがオホーツク海を目指して北上し、産卵のために南下してくるワケではありません。私達が良く耳にする『アオブリ』は、豊富なエサを求めて回遊しているブリです。しかし、中には九州地方の海に住み着き回遊しないブリもいます。それが『キブリ』と呼ばれていて、エサをたくさん得て身が肥えた『アオブリ』に比べて痩せているのが特徴です。
(Photo by Izuzuki, E-190′s, Aimaimyi)

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