カサゴの名前の由来

カサゴは漢字で「笠子」または「瘡魚」と書きます。一つ目の「笠子」は、カサゴの頭が非常に大きくまるで笠を被っているように見えることが理由で、この漢字になりました。ですが、笠というよりもどちらかと言えば、鎧の兜(かぶと)を被っているようにも見えます。2つ目の「瘡魚」は全身に瘡蓋(かさぶた)がついているような見た目をしているから、このような漢字で書かれるようになりました。これは「瘡だらけの魚」という意味で呼ばれているそうです。

また、カサゴの中には強力な毒を持っている種類もおり、英語名で「scorpionfish」(サソリ魚)という呼び名がつけられています。見た目がグロテスクで棘(トゲ)や毒を持っているカサゴですが、とても美味しいことで有名です。

カサゴはアンポンタン?

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江戸時代、カサゴは安本丹(アンポンタン)な魚だといわれていました。なぜなら江戸時代の時点では、魚の鮮度を保つ技術が進んでおらず、カサゴを釣ってから調理するまでの時間で味が落ちてしまうからでした。カサゴが悪いわけではありませんが、マグロなどと同じように、江戸時代の頃はあまり価値が無い魚として扱われていたそうです。

現在では鮮度管理の技術がレベルアップしたので、食卓に並ぶまでに味が落ちるということはないでしょう。

磯のカサゴは口ばかり

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カサゴは口が大きく、他に食べられる部位が少ないため、「磯のカサゴは口ばかり」ということわざが生まれました。このことわざの意味は「口先ばかりで行動が伴わない人」という意味です。

確かにカサゴは食べる部位が少ないですが、引き締まった白身には脂がのっており、とても美味しいことで有名です。ですから、ことわざの意味のように「行動が伴わない」という低い評価は、あまり的確とはいえないかもしれません。

しかし、鮮度を維持出来なかった当時の人にとっては違いました。カサゴは食べる部位も少なく、すぐに味が落ちるということで、低い評価をつけられていたのでしょう。

その一方で、江戸時代のカサゴの評価は悪いものだけではありませんでした。その一つに、カサゴの外見は他者を寄せ付けない強い勇ましさがあるように見えます。ですから武家がカサゴを好み、端午の節句(たんごのせっく)の祝いの時にカサゴを縁起物として扱っていました。武士の鎧(よろい)を見てみると、奇抜で目立つデザインで、外見で相手を威嚇(いかく)するようなものが多いです。中には毛虫がモチーフの兜(かぶと)もあるそうです。カサゴの外見はゴツゴツとしていて棘(トゲ)が多く、さらに見た目が派手だったので、武士の好みに合っていたのでしょう。

カサゴは産卵ではなく仔魚を産む

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カサゴは卵胎生(らんたいせい)という面白い繁殖を行う魚です。カサゴのオスがメスの体内に精子を送り込み、メスは体内で子供を受精するのです。その後、メスは交尾を終えてもすぐに産卵せず、一ヵ月ほど経ってから数万尾の小魚を産みます。この卵胎生という繁殖方法は非常に珍しいものです。ちなみに、生きた化石と呼ばれるシーラカンスも、カサゴと同じ方法で繁殖します。

恐ろしい毒を持つ魚 スコーピオンフィッシュ

カサゴはヒレに棘があり、中には強力な毒を持っている種類もいます。コレが理由で、カサゴはスコーピオンフィッシュやサソリ魚と呼ばれ、恐ろしい魚として扱われています。

その中でも特に強烈な猛毒を持っているのがオニカサゴで、もしオニカサゴを釣り上げてしまった場合には注意が必要です。猛毒を持つオニカサゴの針が刺さると、激しい痛みに襲われます。オニカサゴの毒は痛いだけでなく、吐き気をもよおして、最悪の場合は呼吸困難などの重大な症状につながることもあります。さらに、適切に処置をしなければ、刺された患部が腐ってしまうことがあるといわれています。ですから、釣り好きの方はカサゴが持つ毒を抑える正しい知識を身に付けておく必要があります。応急処置を行った後は、速やかに病院で治療を受けるようにしましょう。
(Photo by irvin calicut, Andrepiazza, AlejandroLinaresGarcia, Nhobgood)

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