5000万年以上前から存在するバラ

バラは身体が根と葉、茎の3つの部分が揃っている植物として深い歴史があります。人間はバラと一緒に人生を過ごし、文明を発展させたため、バラが好きなのでしょう。

ちなみに、紀元前5000年頃のメソポタミア文明の時代から、既にバラは人間と関わっていた記録が残っています。バラはミノア文明のフレスコ画に絵画として描かれ、古代ギリシャの文献ではホメロスが書いた詩にもバラが登場しています。また、英雄ギルガメッシュは叙事詩(じょじし)の中で「バラは永遠の命」と書き記していました。それだけバラの歴史は長く、人間にとっては身近な植物であったと分かります。

バラの栽培が禁止されていた時代もありました

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中世ヨーロッパの時代でも、バラは神聖なものとされていました。赤いバラはキリストの血で、白いバラは聖母マリアの象徴とされていたと考えられています。

バラはキリスト教の修道院で栽培されていました。その目的は、神に捧げる薬草として使うためでした。なので、当時は一般人がバラを栽培することは禁止されていました。そのため、一般人は希少なバラに憧れて、しばしば芸術作品にもバラを描いていました。

バラの栽培が禁止された時代が続いた反動のためか、近代になるとバラ栽培が一気に普及しました。フランスでは、英雄ナポレオンの第一妃であるジョセフィーヌが、広大なバラ園を作りました。世界中から集めたバラを品種改良して様々な新種を作り出したといわれています。

バラには2種類ある

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私達がバラと呼んでいるものは、「オールドローズ」「モダンローズ」の2種類に分けることができます。

オールドローズは1867年以前の中世以前のヨーロッパで流行ったものです。つるや茎など、植えられているバラの姿全体を楽しむために育てられ、野生のバラもオールドローズに区分することができます。

もうひとつのモダンローズとは、1867年以降のバラのことです。1867年にハイブリッドティー系のバラの第一号である「ラ・フランス」が登場しました。この年以降にモダンローズが普及し、1年中楽しむことの出来るバラとして愛されていました。

4月の雨は5月のバラを咲かす

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イギリスには、「4月の雨が5月のバラを咲かす」ということわざがあります。これは4月に雨が降ると、良いバラが育つという意味と考えられています。

ちなみに、このコトワザは単なる例えで、バラとは関係が薄いといわれています。日本のことわざで言えば、「苦あれば楽あり」「雨降って地固まる」など、「今の苦しみが後の幸せを生む」という意味に似ています。

バラの語源

バラは漢字で「薔薇」と書きます。難しい漢字ですから、深い意味があると思う人も多いでしょう。ところが、この漢字は単なる”当て字”です。当て字のまま、中国から日本に伝わっただけで、この漢字には特別な意味はないといわれています。

現在では”西洋バラ”のことをバラと呼んでいます。これは”イバラ”という意味が語源のため、バラやカラタチなど、刺(とげ)を持った低木は全てバラと呼ばれていました。今から1,000年以上前の平安時代から、古今和歌集(ここんわかしゅう)でバラは歌にも登場しており、音読みで「そうび」と読まれていました。
(Photo by Hamachidori, Anna)

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