アスパラガスを立てて保存する理由を知ってますか?
スーパーで買ってきたアスパラガス(グリーンアスパラガス)を冷蔵庫に保存するとします。そのとき、あなたは どうやって保存していますか? 実は、アスパラガスは保存のやり方次第で、栄養や美味しさが大きく変わります。
一般的に、アスパラガスや長ネギなどの長い野菜を買うとします。冷蔵庫に入れるとき、ついつい横に寝かせたくなりますよね?でも、アスパラガスを冷蔵庫で保存する場合は、出来るだけ立てた状態で保存するのがベストです。つまり、アスパラガスを畑にある時と同じ状態で保存するのがベストという事です。ではどうして、アスパラガスを立てて保存したほうが良いのでしょうか?
アスパラガスは成長力が非常に強く、1日に5センチ以上も大きくなります。しかも、アスパラガスは収穫されてもまだ生きています。だから、横に寝かせた状態で保存すると、アスパラガスは上に向かって伸びようとします。そのため、アスパラガスの穂先(先端の部分)が持ち上がります。また、少しずつ茎の部分も持ち上がります。だから、アスパラガスを寝かせて保存すると、あっという間に穂先(先端の部分)が開き気味になってしまいます。
つまり、横に寝た状態のアスパラガスは元の状態(畑で収穫される前の状態)に戻ろうとします。戻ろうとするエネルギーとして、アスパラガス自身が自分の栄養を使ってしまいます。だから、横に寝かせて保存するとアスパラガスの栄養価や味が落ちてしまいます。
かつてオランダキジカクシと呼ばれていました
初めて聞くと思いますが、昔に「オランダキジカクシ」と呼ばれる野菜がありました。実は、それはアスパラガスのことです。アスパラガスはウド(独活)に似ていたため、マツバウドという別名もありました。
ユリ科の多年草(たねんそう)で各地の山地に育つキジカクシという植物があります。キジカクシとは「雉隠し」と書き、この植物は枝が繁って小さな藪(やぶ)状になります。だから、薮(やぶ)のなかに雉(きじ)が隠れていて、キジカクシと呼ばれるようになりました。
天明元年(1782年)よりも前に、オランダ人がアスパラガスを長崎に伝えました。オランダ語のAspergieがなまり、最初はアステルビー、アスペルケーと呼ばれ、そこから今のアスパラガスという名前に落ち着きました。それと同時にアスパラガスは、日本にもともとあったキジカクシにも似ていました。アスパラガスはオランダから伝わったこともあり、オランダキジカクシと呼ばれるようになりました。江戸時代の人々は、アスパラガスを食用としてではなく観賞用に栽培していました。アスパラガスを食用として栽培したのは明治時代以降です。北海道開拓使が、明治4年(1871年)にアメリカからアスパラガスの新種を持ち込んで、食用として栽培し始めました。そして大正時代になって北海道で本格的にアスパラガスを栽培し始めました。
ホワイトアスパラガスとグリーンアスパラガスの違いは?
アスパラガスには白いものと緑色のものがあり、それぞれホワイトアスパラガス、グリーンアスパラガスと呼ばれています。この色の違いは、単に育て方が違うだけです。
アスパラガスは、茎(くき)状になっている若い芽の部分が食べられる部分です。アスパラガスの株から芽が出てくる時、その芽に日光を当てないように上から土で覆い隠した状態で栽培します。その根元から切り取ったものがホワイトアスパラガスです。栽培しているときに芽に光が当たらないから薄黄白色になります。一方、グリーンアスパラガスは普通の野菜と一緒で、日光を当てて栽培しているので緑色になります。
ホワイトアスパラガスは生のままだと腐りやすいので、缶詰や瓶詰めに加工されることが多いです。ほとんどのお店では、生のままのホワイトアスパラガスを売る事はありません。
アスパラガスのホワイトとグリーンでは、色が違うだけでなく栄養も全然違います。栄養を比べてみると、カリウム、葉酸、カロテン、リン、ビタミンCやビタミンE、B1、B2、B6などは圧倒的にグリーンアスパラガスの方が多いです。特にグリーンアスパラガスにはカロテンが多く含まれています。その一方で、ホワイトアスパラガスは、これらの栄養はほとんど含まれてません。だから、グリーンアスパラのほうが、ホワイトアスパラガスよりも栄養が多いです。
(Photo by Muffet, Evan-Amos)