黄色いキュウリって知っていますか?

キュウリの原産地はインド北西のヒマラヤ山麓です。キュウリの歴史はとても古いです。3000年ほど前からインド人がキュウリを栽培していた記録もあります。言い伝えによると、紀元前2世紀に張騫(ちょうけん)という人物が、西域(=胡)からキュウリを持ち帰り、中国に伝えました。

キュウリを漢字で書くと「胡瓜」ですが、これは「胡の瓜」という意味です。その後、中国を経由して日本に伝わりました。「本草和名(西暦918年に書かれた”ほんぞうわみょう”という、日本現存最古とされる薬物辞典)」に「胡瓜、和名加良宇利」とあります。10世紀より前に遣唐使が、日本にキュウリを伝えていたという事です。

昔からキュウリは、「カラウリ」や「ソバウリ」と呼ばれていました。漢字ではキュウリの事を「黄瓜」とも書きます。1847年に書かれた小野蘭山(おのらんざん)の「重訂本草綱目啓蒙(じゅうていほうぞうこうもくけいもう)」には、「熟して黄色なる故にキウリと呼(よぶ)」とあります。キュウリは熟すると黄色くなるので、黄色の瓜が黄瓜になり、キウリが転じて現在のキュウリになったということです。

昔の日本人は熟して黄色くなったキュウリを食べていました。

ルイス・フロイスというポルトガル人宣教師が16世紀に来日しました。そして、「日欧文化比較」という書物にこう書いています。「われわれの間では果物は熟したものを食べ、胡瓜だけは未熟のものを食べる。しかし、日本人は果物を未熟のまま食べ、胡瓜だけは黄色に熟したものを食べる」と。

ズッキーニとキュウリの関係を知っていますか?

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ズッキーニという、キュウリのオバケのような野菜があります。イタリア人はズッキーニをよく食べて、保存食のピクルスにします。このズッキーニがキュウリと似ているのは形だけではありません。ズッキーニとキュウリは栄養価もよく似ています。例えば、カロテンの含有量が同じくらいで、カロリーも同じくらいです。

そしてキュウリもズッキーニも、ウリ科の野菜ですから形もよく似ています。しかし、ズッキーニはキュウリの仲間ではありません。ズッキーニはククルビタ属ですが、キュウリはククミス属です。実は、ズッキーニはカボチャの仲間なのです。カボチャのことをイタリア語では「ズーッカ(Zucca)」といいます。「ズッキーニ(Zucchini)」は小さなカボチャという意味で、ペポカボチャの仲間なのです。

キュウリの巻きヒゲ

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キュウリは蔓性(つるせい)の植物です。長い蔓(つる)を伸ばして成長して、その蔓(つる)を支柱に巻きつきます。それを巻きヒゲと呼びます。キュウリの巻きヒゲはとても興味深いです。

キュウリの巻きヒゲは、最初は蚊取り線香のように渦巻き(うずまき)状です。その後、伸びて先端をグルグルと巻きます。巻きヒゲは、回転しながらつかまるもの(支柱)を探します。巻きヒゲは、先端部分が触れると巻き付く習性を持っています。支柱に触れるとすぐに巻きついて、たった3分ほどでグルっと一巻きしてしまいます。

しかし、これで終わりではありません。巻きヒゲはさらにもうひとつヒゲを巻きます。ヒゲの根元の間の部分に、らせん状に巻き付きます。なぜこのように巻くのかといえば、巻きヒゲがバネのように伸び縮みできるからです。風などによって巻きヒゲが切れてしまうのを防いでいるのですね。

キュウリの苗のツメ

「瓜」と「爪」は間違いやすい漢字のひとつです。「瓜」はウリと読みますが中央下部に「ム」のようなものがついてます。これを昔の人はツメととらえて「爪にツメなく、瓜にツメあり」と覚えたと言われています。そして実際に、ウリ科のキュウリやカボチャにはツメがあるのです。

そのツメがあるのは苗です。キュウリやカボチャの種をまくとします。すると種皮を破って根が伸び、葉(子葉)が出てきます。根と葉の間の杯軸(はいじく)の下の部分にツメのような出っ張りがあります。これをペグと呼びます。

葉が種皮から外に出やすいように、ペグがサポートをしています。そのため、キュウリやカボチャなどのウリ科の植物にとって、このペグと呼ばれるツメがとても大事です。ペグの発育が悪かったり、無かったりすると葉が種皮から抜け出せないです。ですから葉が種皮をかぶったまま成長するため、うまく育たなくなります。

(Photo by H. Zell, Rasbak, AlbertCahalan)

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