トマトは野菜と果物のどちらか知っていますか?

一般的にトマトは野菜といわれています。ところが、19世紀末のアメリカで、「トマトは野菜と果物どっちなのか」を決める裁判が起こりました。

当時のアメリカでは、果物の輸入は税金がなく、野菜の輸入には税金がかかりました。なので輸入業者は「トマトは果物だから税金は払わない」と主張しました。その一方で、役所は「トマトは野菜だから税金を払いなさい」と主張していました。お互いに譲らないまま、ついには最高裁判所で戦うことになったのです。最終的には役所の「トマトは野菜だから税金を払いなさい」という主張が勝ちました。その理由は「トマトは果物のようにデザートとして食べることがないし、野菜畑で育つ」からでした。

日本ではトマトは野菜として扱われていますから、トマトを果物と思っている人は少ないでしょう。ところがこのトマトと同じ野菜なのに、フルーツとして販売されているものがあります。例えば、メロンやイチゴ、スイカなどですね。これらの果物は、実は役所では野菜として扱われています。

野菜と果物の分け方にはルールがあります。一般的に野菜とは毎年栽培・収穫をする草本作物(そうほんさくもつ)のことをいいます。果物はずっと同じ木から果実が収穫できる木本作物(もくほんさくもつ)のことをいいます。こういった違いで果物と野菜が区別されています。

この分け方のルールでいくと奇妙なことになります。トマト、メロン、イチゴ、スイカは野菜のはずなのに、トマト以外は果物として扱われて販売されています。ちなみに、メロンやイチゴ、スイカはフルーツとして食べる野菜ですから、これらを「果実的野菜」と呼ばれています。

「狼の桃」という学名の謎

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トマトは世界各国で栽培されていますが、もとは南米アンデス山脈近辺の国で生まれたと考えられています。

そこから16世紀頃にヨーロッパに伝わり、その後日本には江戸時代の1661年頃に伝わりました。当時のトマトは、食べずに花のように育てるものでした。トマトを食べる習慣が根付いたのは19世紀に入ってからといわれています。

ところで、トマトの学名をご存知でしょうか?学名は「リコペルシコン・エスクレンタム(Lycopersicon esculentum)」といい、18世紀のイギリスの園芸家フィリップ・ミラーが命名しました。”Lycopersicon”は「オオカミのモモ(狼の桃)」という意味です。また”esculentum”は「食べることのできる」という意味です。なので合わせると、リコペルシコン・エスタレンタムは、そのまま「食用の狼の桃」ということになります。

ちょうど同じ時代に、リンネという植物学者が、トマトをナス科の植物に分類しました。学名を「ソラナム・リコペルシク(Solanum lycopersicum)」と名付けました。ミラーが付けた学名”lycopersicum”が”lycopersicon”となっており、トマトを最初に「オオカミのモモ(狼の桃)」と名づけたのはリンネが先でした。

では、なぜ「オオカミのモモ」なのでしょうか。モモは桃のような果物を指しているのは分かりますが、オオカミの意味はまったく分かりませんよね。実はむかし、18世紀頃まではトマトには毒があり恐ろしい植物とされていました。リンネも恐らく、そのように思っていたのでしょう。そこからリンネは「恐ろしいトマトを食べるなんてオオカミだけ」と考えて、このような学名になったという説があります。

おいしいトマトを簡単に見分けるには?

真っ赤に熟れたトマトを見ると食欲をそそられますよね。トマトの子供は緑色で、そこから成長すると赤くなっていきます。トマトを選ぶときには、出来るだけ濃い赤色のものがいいといわれています。ところが、単純にトマトの色が濃ければ美味しいわけではありません。

そんな時、簡単に美味しいトマトを見分ける方法があります。それは、トマトを水に浮かべる方法です。例えば、見た目が美味しそうなトマトが何個もあるとします。どれもおいしそうに見えますが水に浮かべてみると沈むものと浮かぶものがあります。これはどうしてでしょうか?

糖度(甘味)と酸(酸味)の多く含まれていて、味が濃くておいしいトマトは水に沈みます。その一方で、糖度と酸味が少なくコクのないトマトは水に浮かびます。なかなかお店の中では水に浮かべたりするのは難しいですが、自宅でトマトの美味しさを見分けることができるんです。

ちなみに美味しいトマトの条件をお教えしましょう。糖度が6度以上で、酸味が0,5パーセント以上のトマトが食べごろといわれていて、とっても美味しいです。

(Photo by Luc Viatour, David Besa)

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